実技試験は「外観判別」と「配合分析」だけで60点分の配点があります。
前回の記事では、実技試験全体について書きましたが、外観判別で安定して点を取れるかどうかが合否を大きく左右します。わたしはこの分野の練習を、自宅での「見比べトレーニング」から始めました。
豆を1種類ずつビニール袋に入れて、毎日机に並べて観察。
毎日続けるうちに、豆ごとのキャラクターの違いが少しずつ見えてくるようになりました。
この記事では、そのときの練習方法と、見分け方の手順を紹介します。
使用した豆と練習環境

わたしの職場には、カッピングや外観判別の練習をする環境がなかったため、まずは自宅でできる環境づくりから始めました。限られた仕事後の時間の中で、いかに「すぐ試験対策ができる状態」を作るかを意識しました。
豆は1種類ずつ小さな透明のビニール袋に入れ、8種類の袋を毎日並べ替えながら見比べるというシンプルな方法。
実際の試験形式(外観判別)に近い練習ができ、この方法でまずは目を慣らしながら、休日に配合分析の練習を行うという流れにしました。
豆についての注意点

外観判別と配合分析の練習に使用したのは、実技試験用として届いた公式の「検体キット(煎豆判別用⑦〜⑩)」と、
講習会のときに配布されたサンプル豆のうち5種類です。
市販のコーヒー豆でもある程度は練習できるはずですが、実際の試験で問われる特徴が表れた豆を自分で探すのは難しいと感じました。(焙煎度による外観の影響や、ロットによるバラツキも少なからずあるはず)
そのため、可能であれば検体キットを購入し、講習会でもらえるサンプル豆を手元にとっておいて、それを中心に対策するのがおすすめです。
外観判別(豆の種類と特徴)
最初は9種類の豆を並べていたのですが、途中から実際の試験で出題された豆に絞り込みました。
私が受験した第21回試験(7月実施)では、出題されたのは以下8種類を判別する問題です。
グアテマラ EPW(アラビカ種/水洗式)

検体キットで届いたコーヒー豆⑦
白いセンターライン
粒の大きさ:中〜大(ハンドピックで品質が高いため、比較的均一なサイズ)
ブラジル Type2(アラビカ種/非水洗式)

検体キットで届いたコーヒー豆⑨
黒いセンターライン
粒の大きさ:均一
豆の形:俵型が多い
ブラジル Type4/5(アラビカ種/非水洗式)

講習会でもらったサンプル
黒いセンターライン
粒の大きさ:小粒でやや不揃い
豆の形:俵型が多い
コロンビア エクセルソ スプレモ(アラビカ種/水洗式)

講習会でもらったサンプル
白いセンターライン、S字カットが多い
粒の大きさ:大粒で均一
コロンビア エクセルソ UGQ(アラビカ種/水洗式)

検体キットで届いたコーヒー豆⑩
白いセンターライン、S字カットが多い
粒の大きさ:中粒〜大粒でサイズにばらつきあり
エチオピア G4(アラビカ種/非水洗式)

講習会でもらったサンプル
黒いセンターライン
粒の大きさ:サイズにバラツキあり
豆の形:縦長の豆が多い
インドネシア WIB-1(カネフォラ種/水洗式)

検体キットで届いたコーヒー豆⑧
白いセンターライン
粒の大きさ:丸々して大きめ
豆の形:コロンとしていて光沢がある
インドネシア AP-1(カネフォラ種/非水洗式)

講習会でもらったサンプル
黒いセンターライン
粒の大きさ:丸々しているが色にバラツキ
豆の形:コロンとしていてツヤのないマット調
当初は、これに「グアテマラ SHB」も加えて練習していましたが、実際の試験では出題されなかったことから、途中で外しました。
外観判別の練習方法
豆は1種類ずつ小さな透明のビニール袋に入れて、8種類の袋を毎日並べ替えながら見比べるというシンプルな方法です。
- すべての袋に答えのシールを貼る
- 答えが見えないよう裏返し、シャッフルして並べ替える
- 自分の中で決めた仕分ける手順を踏む
- 迷った豆は、自分のノートを見返して特徴を再確認
- 迷った豆と間違えた豆の種類をメモして自分の苦手を把握
袋のまま観察できて、ゲーム感覚で試験形式に近い練習ができます。
続けていくうちに、正答率がアップしていくのが楽しく、全問正解が続くと自信がつきます。

ちなみに、参考までに「自分の中で決めた仕分ける手順」はこんな感じです。
仕分ける手順
手順1.豆の大きさで「ブラジル4/5」と「エチオピアG4」を選ぶ
明らかに豆のサイズで違和感があるのがこの2種類。センターラインも黒っぽい特徴があるため、この2種類は最初に判別できます。
- エチオピアはスクリーンサイズの基準がなく、大きさにばらつきがある。
- さらに、縦長の豆が多いなら、迷わずエチオピアと確定。
- ブラジルの豆は俵型で丸みがあるものが多い。


手順2.形状からカネフォラ種を2つ選ぶ(インドネシア AP-1/WIB-1)
- アラビカに比べて豆が肉厚でコロコロしている。
- センターカットが端まで届いていないものが多い。
APとWIBは光沢で判別:
- 非水洗式 → AP-1(センター黒・マット調)
- 水洗式 → WIB-1(センター白・やや光沢)


手順3.残った豆のうち、センターカットが黒いもの → 非水洗式(ブラジル)
- ブラジル Type2をここで特定。


手順4.残った3種類をセンターカットの形で比較
- S字が多い → コロンビア
- S字が少ない → グアテマラ


手順5.コロンビア内のグレードを判定
- 大粒で均一 → スプレモ
- 大きさにばらつきあり → UGQ


手順1と手順2は、どちらが先でも良いと思います。
わたしは3日目くらいから、手順3まではほぼ正答できるようになりましたが、最後まで手順4と5は間違いました。この3種類は、見た目が本当にそっくりでロットが変わると間違える可能性が高い気も。
「講習会」「検体キット」「実技試験」それぞれ使用されるロットが異なるそうなので、そのあたりは不安がありますね。
配合分析(豆の種類と特徴)


配合分析は、2種類の豆を混ぜた状態で配合比を推測する試験です。
選択肢は「1:3」「2:2」「3:1」。
見た目の違いをもとに、どの豆がどれくらいの割合で入っているかを判断します。
一見シンプルに思えますが、実際にやってみるととても難しい問題です。
わたしが受験した回で出題されたのは次の2問でした。
なお、選択肢は以下から選ぶイメージです。
グレードも問題用紙には記載されていましたが、忘れてしまいました。おそらく、検体キットと同じグレードが使用されていると思われますので、キットを購入した方は実践に即した練習がしやすいと言えます。
【選択肢】
ブラジル:コロンビア=1:3
ブラジル:コロンビア=2:2
ブラジル:コロンビア=3:1
グアテマラ:WIB=1:3
グアテマラ:WIB=2:2
グアテマラ:WIB=3:1
グアテマラ:コロンビア=1:3
グアテマラ:コロンビア=2:2
グアテマラ:コロンビア=3:1
🇧🇷ブラジル:🇨🇴コロンビア


3:1を作成して練習。
欠点豆やピーベリーを避けて、センターカットの色だけで分けても3:1で分けやすい
🇬🇹グアテマラ:🇮🇩インドネシアWIB


2:2を作成して練習。
どちらも水洗式なので、基本的には豆の形で分けていくことになりますが、センターカットが黒っぽくても豆の形の違いやヒビ、艶(WIBの方は黒っぽくて艶があるものが多い)で分けていくと、いつも2:2になりました。
🇬🇹グアテマラ:🇨🇴コロンビア


1:3を作成して練習。
これはもう、正直わからないです。
判別ポイントとして挙げられるのは、
・コロンビアはセンターカットが曲がっている(S字型)豆が多い。スクリーンサイズが揃っている。
・グアテマラは高地産でシワ豆が多い。サイズは不揃い。
今回の検体は、標高が低めのEPWということもありシワの違いはほとんどわからず。
やや小さめのS字型の豆を探し(コロンビアUGQなのでスクリーンサイズ小さめ)、同じくらいのサイズの豆を分けて行きましたが、2回試して2回とも2:2になってしまいました。
配合分析の準備と練習方法
検体キットでもらえる豆の量は各100gずつです。
配合の1単位を15gにして、上記3パターンのブレンド豆を作成しました。
例)ブラジル:コロンビア=3:1 ブラジル45g(15g×3):コロンビア15g(15g×1)合計で60gで作成。
練習して感じたこと


正直なところ、特に「2:2」と「3:1」の違いは、配布される試験用の豆にどれくらい教科書どおりの豆が含まれているかの運勝負と言えなくもない気もしています。
ただ、ブラジルやインドネシア WIB は明らかに特徴のある豆が含まれているので、形状の違いで組み合わせの候補はある程度は絞り込めます。
問題は「グアテマラ:コロンビア」の場合。これが問題として出たら、もう運を天に任せるしかないかも。
わたしは、グアテマラEPWの豆をコロンビアUGQに仕分けてしまうことが多かったので、自分が仕分け終わった結果よりもコロンビアの比率が高いかもしれないことを意識して選択肢は選んでみようかなと思います。
再試験の感想など(後日更新)


試験が終わったら、実際の感想を追記する予定です。
Japan Coffee Qualification Authority 全日本コーヒー商工組合連合会 認定 コーヒーインストラクター検定